栗・芋・栗、ディープな秋和菓子3種がどれもおいしくて…

秋ですね。
伊勢丹新宿店のデパ地下を歩けばどこもかしこも秋めいた茶色いお菓子。
いやあ目移りするなーと思いつつ、本日は家を出る時点でもうすでに、鈴懸に行ってお菓子を買うと決めてました。

福岡の老舗和菓子屋さん・鈴懸。
つい先日もくりきんとん、蒸し栗羊羹、栗どらやきと、こちらのお店の栗のお菓子を食べたばかり。
ですがまだまだ栗のお菓子ラインナップがあったはずだよなあと思い出し、まあ、たまにはしつこいくらいにひとつのお店で買い物をしまくるってのも悪くないのでは、と、そう思い至りました。

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例えば、どうしてこんな有力選手をいままで食べずにほおっておいたのかと言われかねない主役級キャラ・栗大福さま。
例えば、秋は栗だけのものじゃないと主張してくる鮮烈な黄色。

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いやいや、“いもくりなんきん”とか言うけれど、こっちの可能性を忘れてはいけないと諌めにかかるフォトジェニックなトリックスターも。

これらを買ってホクホク帰れば秋風も相まって、温かいお茶が飲みたい!と心が踊ります。

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もはや目に慣れたこの風景。
清潔な白い袋も、華美とはほど遠い無彩色な箱も好ましい。

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へへへ。
ケーキもそうですけど、箱を空けて、包装を解くのってなんどやっても楽しいですよね。

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鈴懸(すずかけ)
【左】
甘芋
216円
【中央】
栗餅
292円
【右】
照柿
378円
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はい、出ました。
左の「甘芋」は、貼ってあったフィルムを剥がすときに、表面の皮が少々剥げちゃいましたよ。完全品はもっとツルンとしてます。
てか、皮が発生しているということは、これ、焼き菓子なのですかね。
わかさいも的な?

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というわけで、キレイに扱ってあげられなくてスマンね、という気持ちを込めつつも黄色いコヤツを。

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ざくり。
いただきまーす、と、え?なにこれ?
おいしい。

いや、ほんと、想像の倍おいしい。

ざっくり言うと、これ、スイートポテトなんですよ。
で、スイートポテトにはマストであろうバターやバニラの色っぽさはありながらも、それが華美すぎない和風のしつらい。
しかも「とはいえ普段の姿はバッチリ厚化粧なんでしょー?」って雰囲気じゃなく、ほんと、まったく破綻を感じない、芯まで通ったスッキリ具合。

なにこれ。
何が違うとこうなるんだろうか。

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繊維を感じさせる素材感も好ましく、歯が楽しい。
ペーストというよりは、「潰したもの」という感じ。
気立てが良いなあ、おいしいなあ。

うーん、こうなると、見た目の素朴さを侮っていた自分に気づきます。
ほんと、すいませんでした。
「これくらいのおいしさだろ」という想定を、大きく超えてきました。しかも方向を逸脱せぬまま。
ほんとおいしい。

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唸りながらも、次は真ん中に鎮座する真っ白なこの子、「栗餅」。
漂うクラゲのようなシルエット。

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いただきまーす、と、ううう。
ついつい声が出た。

おいしい。
真ん中に配置されていた、ぽっくりとしたその一粒の栗がそもそもかなりおいしい。
渋皮の風味が非常に強くて、栗の栗らしい風味が実にビビットです。
これはかなりよい栗なのではないでしょうかね。

餡は、舌触りのスムーズさに、こしあんなのかなと思いきや、つぶしの強いつぶあんの様子。小豆の皮がサクサクと歯を楽しませます。
晒しが強め。
空気をたくさん含んだエアリーな柔らかさ。

こやつの相棒は、これまた軽やかな求肥。
で、軽やかなのに、集中して噛みしめ味わうと、非常に濃く、味がある。
うーん、これは良い。
もち粉を混ぜているとか? わかんないけど。

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で、さらに言うと、個々の要素も非常においしいんですけど、組み合わさると、もっとおいしい。
全体のイメージは、なんていうか、ほぼ栗。

昔ながらの大福というよりは、いちご大福とか、そういう類のフルーツ大福系の塩梅なんです。
ああいうのって、いちごを味わいのメインに置いて、周りの餡や求肥は少なめ、まるでソースのようにまとわりつき味付けるかのようなバランスで配置するってイメージ。
アレです。

最高。
栗を食べてる!って叫びたくなりました。

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ラストはこれ。
上から見たらよくわかる、柿のヘタを乗っけたお菓子、「照柿」。

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そう、柿のお菓子です。
柿で生菓子。
うれしいな。

というのも、私、個人的なフルーツランキング1位が柿なんですよ。
よく「え~?地味」って言われます。
ほっといてくれ。

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さて。これにブスリ。
ん。一部がキレイな柿色ですが、その他はずいぶんピンクめいてますね。

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キレイはキレイだけど、味はどうなのかなあ。
まさかイチゴ味ってことはないですよね?

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割っても美しい。
ていうか私、お菓子の断面(すっぱりキレイに切ったでない食べかけのやつ)が好きなんですよ。
なんか艶かしくないですか?

そしてその味はというと、まごうことなき、あんと柿の味。

メインのボディは練りきりですね。
干し柿が混ぜ込んである練りきりで、餡をくるみ、表面を寒天質のもので美しくコーティングした仕立てです。
練りきりでこのイカしたビジュアルだと「上生菓子」って呼びたくなりますね。

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見ての通り、干し柿がゴロゴロ入ってます。
イチゴの味はしませんが、噛めば噛むほど柿のおいしさがジュンジュンと噴出しますよ。

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餡は、滑らかな、こしあん。

先程の栗餅の餡も単体で食べると晒しが強いさっぱりとしたものだと感じたのですが、こうやって並べてみると、照柿の餡の彩度の低さが際立ちます。

薄紫色。
なんてキレイなんだろう。

この餡のピチピチとした清らかな味に、干し柿のひなびた味が加わると、足し引きして「熟した柿」くらいの風味に着地する感じ。
しみじみと、おいしい。

はあ。
今回はほんとどれもおいしかったなあ。

春夏秋冬いつだって楽しい和菓子の世界ではありますが、やっぱ秋はね、格別のものがありますよ。
美しくもおいしい。
幸せだなあ。

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「鈴懸」(すずかけ)
大正時代から続く、九州は博多の老舗和菓子屋さん。
中洲の本店には、オシャレなカフェも併設してるらしいです。
東京都内で直営店舗は、伊勢丹だけ。(←2018年3月29日から日比谷ミッドタウンにもお店がOPEN!)
いつ、いかなるときも行列ができている人気店です。
鈴の形のかわいいモナカも買いにいかなくっちゃ!
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