ケーキの新たな食べ方を学べるモンブラン

くー。
モンブランだ、モンブランだ。
noix de beurre(ノワ・ドゥ・ブール)のモンブランだ。

小学生のころのMYケーキランキング1位がチーズケーキ。
中学生のころがベイクドチーズケーキ。
高校生のころがモンブランだった私。
(ちなみに大学以降はカオス)

モンブランを目の前にするだけでテンションがあがるし、秋となれば春のイチゴシーズン以上の頻度でお菓子を食べたくなるんです。
まあね、あーだこーだしているうちにもう冬ですがね。

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さて、前回の記事に感想を書いた同店(ノワ・ドゥ・ブール)の洋梨のケーキ。これのあまりの外国味に恍惚としてしまいましたが、思えばこのお店、他のお菓子にもどこか日本離れした感じの思い切りの良さを感じてきました。(→過去のあれこれ

それに続く当記事のモンブランも、きっとおフランスの風を感じる仕上がりに違いない。
そういう期待とともに食べたところ、想像を超える味わいだったんです。

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noix de beurre(ノワ・ドゥ・ブール)
モンブラン 
594円
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これです。
うず高く造形されたこのモンブラン、リアル名峰というよりは中国の仙人が住んでそうな斜度ではありますが、実に美しいですね。

上に乗っている丸いのは……なんだろう。栗?
色のトーンは渋皮煮なんですが、もっと細かいものを丸く成形したような。

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なんにせよ、こういう美しき物体にキラリ鋭利なフォークやナイフを差し込むとき、私はいつも楽しい。

「ガリッ」

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あれ。
なんだ?
メレンゲだ。
硬ーいメレンゲ、ずいぶんと巨大だな。
しかしこれをどうにかしないと、断面図の写真を撮れないじゃないの。

もっと力を入れて、メレンゲを割っちゃいましょうか。

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ん?
全然割れない。フォークが刺さらない。

これ無理。
ナイフですね。

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渾身の力を込めてギコギコ。
くー、硬い。

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やっと切れました。
ここまで頑固な硬さのメレンゲは初めて体験しますよ。

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外は1ミリ程度のホワイトチョココーティング。
中身は真っ白、砂糖の色。
いかにもパサパサしてそうで、これだけを口に入れる勇気が出ない。

なんかやばいマニアックなの買っちゃったのかな?

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もうどうしたら、って感じなので倒しちゃいます。

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サクッと切ると、なんか出てきた。
濃い茶色のクリームです。

これを芯にして、少しの生クリーム、そしてさっきから見えていたマロンクリームが外を囲います。
ここで時間を巻き戻し、店頭の商品説明を見てみましょうか。

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えーと、「メレンゲ生地にクリームと2種のマロンクリームを重ねて。」

ほう。
なんてシンプルな説明。

なにはともあれ食べますか、いただきまーす。

とりあえずケーキ外側にキレイに盛られていた白っぽいマロンクリームは、生クリームたっぷり味。
「これぞ洋菓子」とでも言いたくなるハンサムでスムーズな味わいです。

対して、中のマロンクリームは濃い。
めっちゃ濃い。
直情的な味のマロンペーストにブランデーの風味がドカン!と乗っかった感じ。
なんていうか、それだけ単体で食べ続けられるようなレベルのものではありません。
それくらい濃い。

そして双方のマロンクリームに感じるのは、「外国産の栗!」て感じの、バキッとした栗の風味。
同じ栗でも、日本のものとはこんなに違うものかーとワクワクします。

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で、食べ進めていくうちに、あれ?このケーキは、私がいままで食べたことがないタイプのモンブラン…だな、と気づきます。

いまさらですけど、これ、スポンジがないんですよ。

スポンジがないとどうなるか。
基本、メレンゲとクリームだけってことに。
食感の8割はメレンゲ。
メレンゲに、マロンクリームをつけて食べる的な感じ。

むー。
メレンゲにクリームをつけて食べる、という行為に慣れてないせいもあるんでしょうけれど、とにかくメレンゲのサリサリ食感が前に出て、私はいま、メレンゲケーキとでも呼ぶべきものを食べているんじゃないかという気持ちに囚われます。

ですがね、その思いが間違ってることには、すぐ気づくんです。
バターの香りも玉子のコクもない、ストイックな砂糖の甘み。
そんなシンプルな砂糖のメレンゲが一切、栗の邪魔をしないのは当たり前。

この砂糖の甘さに舌が慣れるたびに、どんどんどんどん栗が際立ってくる。
むしろ栗がメインであって、メレンゲはサブ。食感と甘さのパンチを添えるためのスパイス的役割なのだな、ということをまざまざと感じさせられるのです。

はー、これはなかなか偏差値の高いケーキだなあ。

だって「柔らかくてフワフワで、しっとりしてて、口溶けなめらか」を正義としがちな日本人好みフォーマットにまったく乗っかってないケーキなんですもん。
なんなら真逆。
だけど、それが所以に私のまったく知らない方程式で栗をガッツリ際立たせている。
勉強になる。
そして、このモンブランをひとつ食べきるころには、自分の盲信してきた、狭い正義とでもいうようなものの呪縛から解き放たれるのです。

カタルシス?
アハ体験?

どうにせよ、これは間違いなく、私の「おいしい」の知覚をひと段階、拡張してくれました。

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ちなみに上に乗っていた●は、マロングラッセを砕いて、バニラや杏っぽいなにかと一緒に団子状にした感じのものでした。
これもまた食べたことがないもの。
いやー、おいしいし楽しい。

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「noix de beurre」(ノワ・ドゥ・ブール)
「作りたて」をウリにしているケーキのお店。
ケーキと焼き菓子、どっちも美味しそうだけど、今は特に焼き菓子が人気みたいです。
店舗は、新宿伊勢丹と日本橋三越のみ。
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