染み入るような春の和菓子のマリアージュ


「冬は終わったぞ」感があからさまな新宿。

そしてここは伊勢丹デパ地下。

いちごのスイーツでも買おうかなとフラリ歩けば、ああ、そうなのね。

桜もちの季節なんですね。


幼き頃から桜もちは大好きな私。

というか私は北海道の生まれ育ちなのですが、北海道っていわゆる道明寺がスタンダード。

ちゃんと調べてないので絶対とは言い切れませんが、まあ、たぶん全域で道明寺かと思います。

関東風な皮部分がペロリとしているやつ(長命寺?)は、かなり大人になってから初めて食べました。なんか違う…と煩悶したものです。


そうだそうだ、桜もち食べよ。

どこのお店で買うのがいいかな…と、叶匠壽庵(かのうしょうじゅあん)があるじゃないですか。


叶匠壽庵。

滋賀の和菓子屋さんですね(たねやも滋賀でしたっけ)。

なんとなくのイメージですが、とっても使い勝手のよいお店。


例えば仙太郎とか、すごい飛び道具な見た目と味の商品がたくさんあったりするじゃないですか。

ああいうのじゃありません。

かといって、とらやのような強く硬質な味というわけでもない。

すっきりと食べやすく、誰にでもおいしいと思ってもらいやすい味。

初対面の方にちょっとした手土産を持っていきたい、そんなときにぴったりなお店って感じの印象です。


さらには、夏の水ようかんが竹筒風の容器に入っていて楽しいよね、とか。

お会計のときに有名菓子「あも」を一切れくれるの嬉しいよね。

「あも」っておいしいけど、ひと竿買うのってハードル高くてねえ。

でも、お茶もくれるときと、そうじゃないときあるけど、何の違いなんだろう…。

などなど、とかく無駄口が止まらないほどに親しむ機会が多い店なのです。


そんな、私にとってスタンダードといえる叶匠壽庵。こちらの桜餅を食べたことがないなんて残念すぎる。今日を良い機会とすることにしました。


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あ、となりにあるのは草もちじゃないですか。

どうせですからね、ひとつづつ包んでもらうことにしましょう。
やったー。


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そうそう、この袋。


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あらら、カワイイですねー。


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じゃーん。


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叶匠壽庵(かのうしょうじゅあん)
【奥】

桜もち

216円

【手前】

草の餅

216円

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まずは道明寺。

ううう、おいしい。

淡くアクのない、上品なこしあんが舌の上でスルリと消える。

まったくひっかかるところなく、スルリと胃に収まる。

ちゃんと甘いのに、ちゃんと塩っぱくて、これがまさに求めている桜もちという感じ。

上に述べたように、道明寺を愛する子供だった私。

スーパーマーケットのお菓子コーナーで売っている道明寺を食べて満面の笑みを浮かべていた幼き私に食べさせてあげたい。

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ああ、これぞ、ザ・道明寺。


ちなみに私、桜の葉は食べる派です。


お次は草もち。

商品名は「草の餅」です。

別袋で添付されていた「丹波黒豆きな粉」をたっぷり振りかけました。


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一転して、こちらは噛みごたえのあるガツンとしたフルボディつぶあん。

よもぎの苦味を受け止め、さらに跳ね返す、素晴らしいバランス感覚。

あ、このきな粉、すごく良いきな粉だ。

芳しくておいしい。ふわりと高めの中音域に華を添えるような。


うん、バランスだ。きっとバランスが大切なんだ。

和菓子のバランス感覚。

溶け込むような、染み入るような。


クラシカルな洋菓子が、個性に個性をガツンとぶつけてド派手な火花が散るような化学反応を楽しむおいしさだとしたら、こっちは、じわり、しっとりと染み込む組み合わせ。


私たちは、おいしいチーズとおいしいハムを組み合わせると、別個に食べるよりも凄まじいおいしさが生まれることを、しかもそこにフルーツのコンポートかハチミツを放り込んだら口の中に凄まじい美味の嵐が巻き起こることを、さらに赤ワインを足したら、のたうち回りながら悶絶…そんな方程式を知ってます。

だけど、よもぎと小豆ときな粉が渾然一体になって、こんなにも美しい味を生むだなんて、みんな知っているんでしょうか?

私はぜんぜん知りませんでしたよ…。


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「叶匠壽庵」(かのうしょうじゅあん)

近畿の水瓶・滋賀の和菓子屋さん。

和菓子のソニーだなんて呼ばれるほど革新的な菓子の数々を世に送り出してきたお店です。

東京都内にも沢山お店があって、主要ターミナルタウンで気軽に購入できるのも魅力。

滋賀にある自社施設「寿長生(すない)の郷」は6万3000坪もの敷地に日本の昔ながらの里山が広がっているらしく、特に梅の花がめちゃくちゃ綺麗なことで有名。

まあ、一度行ってみたいよね。

https://www.kanou.com/

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