大自然は恐ろしい!? 京都に学ぶ菓子の底力
先日の、叶匠壽庵の桜もちと草の餅、とてもおいしかったなあと思いまして。
さらには伊勢丹と関係ないですけど、その後に伊豆の永楽堂「長八桜餅」をいただきもので貰い食べたらこれまたおいしい。
よし! いま私に、和菓子の風が来ているよ!
というわけで、今回もお店を変えて桜餅と草餅を食べることにしたいと思います。
それに、やっぱ和菓子って季節性が強いじゃないですか。
さらに日本人にとって「春」は特別な季節。
四季の内でもダントツでしょう?
だから、季節が変わる前に春らしいお菓子をもっと食べたいとも思うわけです。
ブログに載せてないけど、もういちご&いちご菓子なんて食べまくりですよ。
もはや飽き始めているくらいです…。
というわけで、桜餅と草餅を求めて伊勢丹デパ地下をぐるぐると巡回します。
そこで目に入ったのは、京都の老舗和菓子屋さん・老松(おいまつ)。
とらやの目の前の一角です。
うん、あるある。
買いましょう。
ちなみに老松は1908年創業の京都の和菓子屋さんで、夏に販売される「夏柑糖」が有名ですかね。
いまは色々なお店が柑橘の中をくり抜いてゼリーを入れたお菓子を販売してますけど、私がこの趣向を初めて見たのは老松です(HPを見たら、これを裏付ける感じの記述がありました。さらにゼリーじゃなくて寒天みたいです)。
他には、落雁が好きなので「御所車」は個人的にかなりツボでして、何度か買いました。おいしいですよ。

ああ、これこれ。
この紙袋、かなりお洒落だと思うのですがいかがでしょうか。
老舗の骨太なパワーに満ちあふれてます。

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老松(おいまつ)
【右】
桜餅
270円
【左】
草餅
324円
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お茶席で用いる菓子をたくさん作っているお店だからでしょうか。
ポーション小さめでコロリとカワイイし、なにより美しいですよね。
すごく絵になる。
というわけで、食べてみましょう。
まずは桜餅です。
さらに道明寺粉としてけっこう硬めの仕上がり。
アルデンテ的なとでも言えばわかりやすいでしょうか。
粒立ちがよく判ります。
菓子のサイズに対して道明寺粉の皮はけっこう薄めなのに、めちゃくちゃ存在感があります。
おもむろに幼き頃に祖父母の家で食べた、作りたてのお餅(by餅つきマシーン)の記憶が蘇ります。
あれから数え切れないほどたくさんの和菓子を食べてきたはずなのにこんなの初めてです。
そう、和菓子に対してこんなに強く「コメ」を感じることはそうそうありません。
これはインパクトすごいな…そう思いながら桜の葉っぱをギコギコ切ります。
というのも、あの、写真見てもらいたいんですが、本体のサイズに対して桜の葉のサイズがめちゃくちゃ大きくて、しかも2枚。
一口目は桜の葉っぱを外して食べましたよね。
で、2口目。
葉&本体で、ゴー。
これは大自然の味だ。
なんかすごいよ。
そうか。
可愛くて上品なビジュアルに騙されてました。
生半可なものじゃありません。
スーパーの野菜じゃない、畑の野菜でさえない。
まるで山菜。
飼いならされちゃない。ねじ伏せられてない。そんな野生の味です。
こんなことってある?
そう震えながら、その横に鎮座する草餅を食べると…
またもや強い!
まるで、ものすごく上手にまとめられた野草!?
手作りマシーン餅を食べた幼児期よりももっと昔、さらに記憶は遡っていきます。
川べりで摘んだヨモギ。
それをすりつぶして白玉団子に混ぜ込んだ母。
苦い〜、まずい〜と吐き出した兄弟。
母だって老松と比べられちゃ、やめてくれとしか思えないでしょうが、あの団子を思い出しましたよ。
いや、それに老松のお菓子は凄みを感じるほどにおいしいんですよ、ほんと。
野趣があまりに強烈で、なんかよくわかんなくなってますけれども!
…緑茶をすすって一段落し、そこで思うは、嗚呼またもや私は和菓子のことを何もわかっちゃいなかったんですね、ということ。
和食の出汁も日本酒も、そして和菓子もすべて水のような何かに近づくことを求めているんだと思ってました。
でも、春の訪れを告げるのは間違いなく野山の土の香、緑の苦味。
長い雪景色の終わりを思わせる。
そんな鮮烈な和菓子でした。
あああ、恐ろしい。
菓子ってこんなことまで表現できるんですね。
※老松の売り場で見かけたコレ、なんかすごくないですか。
読めないし。
売り切れだったんですけど、次行った時にあったら買いたいと思います。
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「老松」(おいまつ)
京都市上京区にある京都で一番古い花街・上七軒にある、1908年創業の和菓子屋さん。
舌に新鮮な経験値を与えてくれる和菓子の数々に、菓子とはなんぞやと哲学的な気持ちになること請け合い。
嵐山にも店舗を持つほかは、大丸京都店と、伊勢丹新宿店のみの展開だけど、オンラインストアがあり。
一見するだけで、うおおおってなると思うので、ぜひぜひー。
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