2000円で体感する「天才」と「サービス精神」
ここは、伊勢丹新宿店B1のエスカレーター横。洋菓子テナント方面。
こちら世紀の名デパ地下のなかでもさらに一等地と呼ぶべき立地、そこに贅沢~な平米数のテナントを構えるのが、みんな大好きサダハルアオキです。
今回は、店先をチラチラ見てたら気になったアソートボックスみたいなやつを食べてみたいと思います。
ほらほらコレ、サダハルアオキのケーキの最新主力商品を小さく切って詰め合わせた、って立ち位置なんですかね。
7-8月の限定、しかも新宿伊勢丹店限定かー。
まあ、たぶん9月になったらなったで新作を入れてまた構成が変わるってタイプかな?
まあなんにせよ、オールスター的なケーキをちょこちょこ味見できるなんて、なんて嬉しい話。親切。
あれもこれも食べたい人にとってはもう最高。そう言わざるをえません。
おー、かわいい。
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pâtisserie Sadaharu AOKI paris(パティスリー・サダハル・アオキ・パリ)
デギュスタシオン
1951円
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ほら、どれもこれもが彩度が高くて、ほんときれい。
食べてみましょうかー。
じゃあ、まずはひとつめ……!?……とっ
溶けてる!
今日も猛暑……持ち歩いている間に温度が上がっちゃって、クリームがゆるゆるに、溶けちゃってる。
お皿に移動してそれをひとつひとつ写真撮って~って思っていたのですが、こんなんじゃ無理だよね。
あれー?大丈夫な範囲でしか動かしてないはずなのになあ。
ああ!
試しに半分に割ってみようと思ったらこんなことに!
うああ、駄目だ。
ひどすぎる。
冷蔵庫でもう一度冷やした方が良いんだろうなあ。ひどすぎる。
でもなあ、もうコーヒー淹れちゃったしなあ。
んー。
……食べるか!
というわけで写真の仕上がりが、アレ?って感じですがご容赦を。
この一億人総SNS時代、キレイで美味しそうな写真をとって当たり前って雰囲気は生きづらいなあ。
はい、あらためて、ひとつめ「サヤ」です……。
えーと、青木定治シェフの娘さんの名前ですって。渾身の作品に違いありませんね。
並々ならぬ気合を感じます。
簡単に言うと、ミルクセーキのイチゴ味。
遠くにチョコもいる。ナッツもけっこう強く感じる。
ああ、すごくバランス良い。
マダム向けというよりは、女子向けって感じの味。
「試す」みたいな要素が1ミリもなく、どこまでも甘やかされている感じの味。
あれ?
いつの間に、私がお嬢さんみたいな気持ちに!?
次は「ショコラプララン」。
倒れちゃっているけど、おいしい。
倒れちゃっているけど、おいしい。
ベリー系のマカロンがインパクト。
さらに後ろにオレンジがブワンブワンとしていて、あとはもう、すべてを吹き飛ばす激烈チョコ。
けっこうミルキー。コーヒーっぽさも。
プラランって何?何?
すごい複雑だなあ。
「シトロン」。
欠けてるけど。
欠けてるけど。
レモン!鮮烈!!
一転、シャックシャクする駄菓子チックな食感にびっくり。
昨今、ショコラの世界でこういう食感使いをちらほら見かけますが、ケーキでは初めて食べました。
このままエキセントリックな味が展開するかと思いきや意外に落ち着く味に着地する感じも、シュッと消えていく味・甘さの引きの速さも、なにやら独特な感性。
面白い。
比較的キレイなまま保たれていた「カシスィエ」。
黒いベリーの味と、チョコの黒い味がスムーズにつながる。
甘みも酸味も、シームレスにつながる。
なのに、のっぺりしてないんです。
なにこのバランス感覚……黒いポップ?ポップな黒?
コレを美味しくないって言う人はいないでしょ。
いちいちちょっとづつ欠けているけど、「ヴァランシア」。
ああ、キレイ。
オレンジ。オレンジだなー。
でもこれ、どちらかというと、駄菓子のオレンジ。粉末ジュースの味。
パフ入ってて、シャリシャリするし。
青木定治はもしかして、幼き頃の情景を再現しているのでしょうかね?
……と思いきや、アーモンドが、グッと大人の味に引き戻す。
なんだよー、さっきからとにかく普通じゃ終わらないなあ。
まさか、竹のパウダーが!?
と思いきやそういうわけではないようで、抹茶とチョコ味。
でも、ただの抹茶チョコじゃないんだよなー。
これ、いまでも「実は竹のエキスが入っているんですよ」と言われたら信じちゃうな、これ。
笹団子とか、よもぎ団子とかにチョコを組み合わせた感じ。
とにかく「日本の緑の葉っぱ」ってニュアンスを感じるのは、単純にネーミングと見た目に惑われているんでしょうか。
ぜんぶ一気に食べてやりましたよ(惨状)。
しかしすごいなあ。
すべてが鮮やか。そして、すべてにアイディアを感じる。
平たく言うと、「カリスマ」とか「天才」って類のタレント性が満ち溢れている。
でもそれと同時に、これらケーキににじみ出る、「努力」や「勤勉」。
そしてなにより「おおらかさ」。
いや、「サービス精神」かなあ。
書いてて、自分で「お前どこから目線だよ」ってツッコミたくなりますが、そういうものをヒシヒシと感じます。
非凡なアイディアを緻密に組み立てた渾身の一作。
わあ美味しい!って目線を向ければ、「でしょ?」なんて言いながらニヤリと笑う。
偉ぶりもせず、悪ぶりもせず、自然体。
そういう情景が浮かぶ感じです。
さらには、こういうアソートってどうしても、「ケーキ1つ頭からお尻まで通して食べることを想定して作っているバランスのものをブツブツ切って提供してもらうってのはね、シェフとしては思うところあるだろうなあ」、だなんて思ったりするじゃないですか。
でも「え?おれは気にしないけどね」とか言ってくれそう。
そしてまたニヤリ。
ああ、さっきから私は何を言っているんだろうな。
でもねえ、味からそのパティスリーのキャラクターを感じることってあるじゃないですか。
きっと今回の私のグチャグチャ写真だって、サダハルは、笑って許してくれますよ、うん。
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「pâtisserie Sadaharu AOKI paris」(パティスリー・サダハル・アオキ・パリ)
世界で一番有名な日本人パティシエって言って間違いないであろう青木定治さんのパティスリー。
近年はショコラでも超有名になりました。
都内にいっぱいお店があるって印象だったのですが、意外に少なく、都内4、名古屋に1、あわせて5店舗だけみたいです。
また、有楽町の国際フォーラム近くにある店がヘッドショップみたいですね。
オンラインショップもありです。
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